「2017 Advancements in Urologyに参加して」
新年が明けて間もなく、真冬の日本を飛び出してアメリカ、サンディエゴにて開催された2017 Advancements in Urologyに参加してまいりました。2016 AUAに参加した際にもサンディエゴは訪れていたのですが、とても過ごし易いよい土地であります。秋くらいの気候でしょうか、夜などはコートが欲しい感じでした。
初めてAdvancements in Urologyに参加したのですが、AUA、JUA両方から高名な先生が多く参加し、泌尿器科領域の各ジャンルにおける総論的なところから近年までの傾向、最新の知見、今後の方向性などを講義形式で勉強していくものになります。その中で、今回はサンディエゴの病院での手術見学をさせてもらえるチャンスを頂くことができ、参加してきました。
カリフォルニア大学サンディエゴ校の附属病院であるUC San Diego Medical Centerの泌尿器科を見学してきました。近年は内視鏡による手術が一般的であり、様々な記録媒体で術野の動画をクリアに見ることができるのですが、今回は手術室に入ることができ、アメリカの手術室の雰囲気を体感できたことが一番大きな収穫でありました。
自分の見学の順番になると、とても気持ちが高ぶりまして、少し子供の頃を思い出してしまいました。病院のエントランスのロビーはホテルのようで明るく、広く、患者さんがたくさんいるというよりはゆったりした雰囲気でびっくりしました。いざ手術室のある棟に入っていくと、思ったより廊下が狭いこと、ロッカーが狭いことに驚きました。手術室にはダヴィンチSiと大きなモニターがあり、ホワイトボードに手術患者さんの情報などが書かれてありました。手術室も思ったより広くなく、平均的な日本の手術室と同等ないしやや狭いくらいに感じました。アメリカ=大きいという固定観念があったため、意外でありました。自分が見学したのはボスであるケイン先生のロボット補助下前立腺全摘術でありました。1件はビデオ中継、1件は手術室で2件見たのですが、どちらも大変スムーズに手術が進み、感銘を受けました。ドレーンを入れないこと、気腹圧の違いなど、手術の内容で日本とまた違う部分もありましたが、介助の看護師さんがかなり頻繁に交代する(1時間くらい?)ことや、医師以外のスタッフがとても多いこと、ほとんどの患者さんが当日入院で翌日退院すること、など色々と目を丸くして見ておりました。手術は2時間くらいで終わり、ロボットのロールアウト、閉腹と共に退室してきました。興奮と充実感に包まれた中、ロッカーの鍵がポッキリ折れるアクシデントもありましたが、一緒に見学していた先生の助けもあり、無事に見学を終えることが出来ました。
参加した4日間、朝は5時〜6時起きで夜まで濃密なスケジュールでありましたが、夕食時などは他の大学の先生と一緒に出かけたりしてとてもいい刺激になりました。
今回、アメリカの臨床の現場をわずかではありますが体験することができ、とても貴重な経験となりました。参考にするところも多かったのですが、日本で臨床を行うにあたり、必ずしもそのままできることばかりではないこと、また医療と保険などの社会制度の背景による違いを改めて感じました。泌尿器科専門医になり、数年経過しましたが、臨床、研究ともに充実させるべく、さらに邁進したいと強い思いを胸にサンディエゴの地を後にしました。
文責:宮澤 慶行