医学生および臨床研修医の皆さんへ
平成16年度からの新臨床研修制度の開始に伴い、泌尿器科などの専門科におけるトレーニングシステムは大きく変わりました。すなわち、今まではストレートに泌尿器科に所属し、研修1年目から泌尿器科の基礎を取得するプログラムでしたが、現在は、2年間の初期研修中に選択科として泌尿器科を研修するか、あるいは、初期研修では他の科を研修した後、自分の専門として泌尿器科を選択するというものです。
群馬大学泌尿器科は、昭和36年における開局以来、約50年の歴史を持っており、群馬県はもとより、栃木県、埼玉県、東京都、千葉県といった関東地方に関連施設をもっています。泌尿器科という特性上、市立病院、県立病院をはじめとした基幹病院に加えて、透析施設を有する病院など、それぞれの地域のニーズにあった医療機関が、一丸となって泌尿器科診療により地域医療に貢献しています。
群馬大学泌尿器科における泌尿器科医としてのトレーニングは、こうした関連施設との連携により成り立っています。現在の臨床研修制度の下では、まず、初期研修終了後の3年目に群馬大学医学部附属病院にて泌尿器科のトレーニングを開始します。群馬大学医学部附属病院では、シニアレジデント制を平成18年より開始しています。シニアレジデントという身分で1年群馬大学泌尿器科において専門トレーニングを開始し、次年度以後、関連施設での泌尿器科専門トレーニングを行います。
群馬大学泌尿器科における大学病院でのシニアレジデント制を利用した専門教育は 必ずしも、大学で複数年のレジデントを経験するシステムではありません。上で述べたように、関連施設を含めた大きな研修システムです。私たちは、専門科のトレーニングは、一箇所の施設で行うよりもいくつかの施設を経験することにより、数多くの泌尿器科専門医・指導医と接し、議論することにより、バランスの取れた専門医が養成できると考えています。また、泌尿器科は、診断から治療までのほとんどを自科で行う診療科であることと、疾患が外科的治療を中心とするものや、内科的な治療を中心とするもの、更に、慢性腎不全に対する血液透析や腹膜透析など、多岐にわたっています。こうしたことから、トレーニング期間に自分の適性を見つけることも大切な課題であり、多くの経験をつむメリットがあると考えています。
今後、泌尿器科疾患は、高齢化社会の進行とともに、ますます増加することが分かっていますし、生活習慣病の増加による糖尿病性腎症からの腎不全の増加も社会問題となっており、泌尿器科の果たす役目は、今後ますます非常に大切なものとなってきます。泌尿器科を志望する方は是非、私たちとこれからの医療に取り組んでいきましょう。