【前立腺癌疫学・臨床研究グループ】 伊藤 一人
前立腺癌を中心とした泌尿器腫瘍の疫学・臨床研究グループで、県内の前立腺癌検診データベース、癌登録データベースと血清バンクを活用した実臨床に直結する研究、多くの国際共同研究や国内多施設共同研究を主導しており、主な研究は以下の通りである。
- 前立腺癌の1次予防に関する研究:腸内細菌叢・乳酸菌摂取の前立腺癌発症や予後へ影響を調査する大規模疫学研究、
- 前立腺癌検診・診断に関する研究:県内のデータベースと血清バンクを利用した最適な検診・診断システムの開発に関する研究、
- 前立腺癌罹患リスクの国際比較研究:European Randomized Study of Screening for Prostate Cancer(ERSPC)との共同研究により、PSA基礎値が人種差を超えた前立腺癌の罹患危険因子であることを証明、
- PSA検診による前立腺癌死亡減少効果の検証研究(Japanese Prospective Cohort Study of Screening for Prostate Cancer; JPSPC):(財)前立腺研究財団の前立腺がん検診研究班の国内多施設共同研究を主導、
- がん研究開発費「拠点病院の日常診療データベースから新しい臨床仮説を創出するための研究」:局所進行前立腺癌に対する内分泌療法・放射線療法併用の意義に関する研究、
- PSA関連腫瘍マーカーの診断・治療効果判定・予後因子としての有用性の研究:proPSAの臨床的意義に関する米国企業と連携した様々な国内多施設共同研究の実施、
- Japanese- Prostate Cancer Outcome Study by Permanent I-125 Seed Implantation (J-POPS)データベースを利用した臨床研究:国内実施症例の約40%が登録されている大規模コホート研究でプロトコール論文の執筆とアウトカム研究に参画
【ステロイドホルモンと前立腺疾患、機能解析グループ】 柴田 康博
前立腺はアンドロゲンの標的臓器で、その増殖・機能制御や前立腺疾患の発生・進展にはアンドロゲン活性の強いジヒドロテストステロンをはじめとした各種アンドロゲンが深く関与しています。アンドロゲンの産生は精巣、副腎で行われますが、近年では前立腺癌組織内で活性アンドロゲンが産生されていることが明らかとなり、ステロイドホルモン代謝に関わる酵素をターゲットとした新たな治療法が臨床応用されつつあり、話題となっています。我々は性ステロイドホルモンの前立腺血流、膀胱血流に対する作用解析、また組織内のステロイドホルモン代謝に注目して、ホルモン構成と前立腺癌再燃との関係、脂肪組織内でのアンドロゲン産生、前立腺組織内エストロゲン解析と前立腺疾患との関係などについて検討を続けています。
【前立腺癌;前立腺癌疾患関連遺伝子解析グループ】 松井 博
前立腺癌のリスク因子として前立腺癌の家族歴を有する事が知られています。1994年より開始された群馬県および近隣施設における家族性前立腺癌家系の臨床データの集積を元にそのゲノムDNAを収集しています。これらの検体を用い、前立腺癌疾患関連遺伝子を同定すべく、一塩基多型(SNPs)やマイクロサテライトを用いた遺伝子多型解析を行っています。
【臨床応用可能な抗腫瘍剤の探究グループ】 小池 秀和
標準治療耐性泌尿器癌に対する治療戦略を、アポトーシス抑制因子の点から検討しております。
【前立腺癌;脂質代謝グループ】 関根 芳岳
前立腺癌の成因には様々なものがあげられますが、その中の一つに脂質が挙げられ、我々は、脂質と前立腺癌との関連について、研究を行っております。血中で脂質はリポタンパクという形で存在し、そのリポタンパクであるLDL、中性脂肪、HDLと前立腺癌との関連の研究を行ってきました。また高脂血症の薬剤であるスタチンや糖尿病の薬であるメトフォルミンなどが前立腺癌の増殖や進展などを阻害することが報告されておりますが、そのメカニズムを、コレステロールの転送、miRNA、細胞内アンドロゲン濃度などとの関係について解明を試みております。